【81ニュースレター】PH緊急時対応 6/3 Wed
本日も隔離措置の続くここフィリピンより最新の情報をお知らせいたします。まず本日の感染者数ですが陽性感染者数19748名、死亡者数974名、回復者数4153名となっています。1日の感染者数は751名となります。
【Metro Manila】
フィリピン人の人口のうち約1割に及ぶ約1000万人の人々がOFWとして世界中に出稼ぎに出ている中、今回のコロナウイルスによる世界的な感染蔓延はフィリピンに大きな懸念事項を及ぼしているようです。1つは経済的ダメージでGDPの10%を占める海外からの送金は、今年は既に20%程度落ち込むことが見込まれています。これまで世界的な経済危機が訪れた際には、影響の少ない地域に居住しているOFWが自国の家族を支えるため送金額が増えるなどして、経済危機のたびに国内経済を支えてきました。しかし今回の状況においては国内経済の支え役となるのは難しそうです。特にOFWが多い中東エリアでは4月の原油価格急落も影響し同エリアでの失業者が急増しています。今回のコロナウイルスの影響により年内に40万人が失業する見込みと発表されています。2つ目の懸念事項は、OFWが帰国することで国内の感染対策が大きく影響されていることです。現在、1日あたり約2000人が帰国しているOFWですが、帰国後、マニラ首都圏の隔離施設で14日間の隔離が義務付けられています。隔離施設が慢性的に満員状態にあるのと、失業して帰国してきたOFWに対し政府は現金給付策などを打ち出しており、財政が圧迫されているようです。
大統領報道官は現在、全面的に禁止している外国人の入国に関し、復旧のめどは今のところ付けられないと発表いたしました。前述のとおり帰国する国民(OFW)の対応だけでも手いっぱいの様子で、外国人の入国を許すことがコロナウイルスの蔓延をさらに助長する可能性があると考えています。
貿易省は6月16日以降、レストランなどの店舗内での食事を許可することを検討していることを明かしました。現在は3月17日のECQ以降から継続してデリバリーとテイクアウトのみの営業となっています。条件としてSocial Distanceが維持されることとしてあり、具体的な対処方法なども提示していくようです。
6月1日以降のロックダウン一部緩和により、いくつかの公共交通機関が再開し、多くの一般市民が通勤を期待した一方で、最も一般的な市民の足であるジープニーが依然禁じられているため、多くの人々がバス停や駅に到着できずまたは移動手段がなく、道端に取り残される事態となり連日問題視されています。これに対し、中央政府は現在もコロナウイルス対策は続いていることに触れ、ジープニーの復活は現時点では「論外」として否定しました。車内が非常に狭く多くの人が乗車するジープニーは、客席が対面式で着席することとなり、感染予防に最も望ましくない状況となることを理由に挙げています。
【Cebu Mactan】
セブ市でも首都圏同様に6月1日以降数本のバスのみが運行しているため、移動手段がなくGCQ移行後も出勤できない市民が続出しています。セブ市長は交通省に対しジープニーの復旧の許可を求めているようです。またそれらのジープニー運転手たちはこの長期間に及ぶロックダウンのため、収入手段がなくなっており市がコメの支給などで援助しているようです。
セブ市の新規感染者は本日6月3日で42例が報告されました。これで合計の感染者数は2422名となり、そのうち1246名は現在も感染中となります。セブ市は全国でも感染者数が多い市自治体として数えられます。
本日は以上となります。ジープニーの運行再開についての議論が多く聞かれます。国内で最も普及している市民の足と言える交通手段で首都圏や都市部のみならず多くのエリアで利用されます。平時であれば交通渋滞の元であるとして非難のある乗り物ですが、なければ出勤できない人々は多いはずです。しかしその実態は密接密集した空間となり隣との乗車スペースは通勤時は0で、正面の人とは膝と膝がぶつかり合うほど近接した距離感となります。中央政府が言うように、感染対策としてみた際に「論外」というべき交通手段であるといえます。現在も日々三桁規模で感染が報告されているフィリピンで、ジープニーの復旧は現実的ではないだろうと感じます。