【81ニュースレター】PH緊急時対応 5/15 Friday
本日も隔離措置の続くここフィリピンより最新の情報をお知らせいたします。まず本日の感染者数ですが陽性感染者数12091名、死亡者数806名、回復者数2460名となっています。新規感染者は215名です。
【Metro Manila】
明日5月16日以降にマニラ首都圏と一部地域で実施される行動外出制限の規制、現地ではいわゆるMECQと呼ばれていますが、政府からのガイドラインの曖昧さが多く指摘されており混乱を極めております。
規定によると多くの企業業態で50%以下の人員とその他の衛生面のプロトコルを順守することで、従業員の出社が認められています。一方で従来通りの外出制限が義務付けられています。
また再開可能としながらも一切の公共交通機関の運営を規制しているため、多くの一般従業員は出社したくてもできないことが現実です。大統領報道官は従業員へ自社の移動手段(シャトルバスなど)を提供できない場合は業務再開するべきでないなどの発言を行っております。
政府として経済活動を再開させたいのか、外出制限を続けたいのか、外部圧力に負け経済活動を一時再開する素振りを見せているような煮え切らない対応が続いています。
政府は5月10日時点で1日の検査能力が1万4500件になり月初から約70%増大したことを発表しました。そのうち10日に実際に行われた検査本数は8700件で検査施設は現在、30か所まで増えているそうです。政府は月末までに検査施設を66か所までに増やし検査能力を1日3万件にまで引き上げたい考えのようです。
貿易産業省は16日以降首都圏などで外出制限が緩和されるとおよそ8割の労働者が職場復帰できるだろうとの見通しを発表しました。国内で最も就労者が多いマニラ首都圏で外出制限を継続する一方で多くの業種の活動再開を条件付きで認めるためとのことです。一方でそのガイドラインの不明瞭さのため、現場からの混乱の声は避けられず実際に業務再開へ踏み切れるかどうかあいまいな他、各業種、最大5割に人員が抑えられるため8割の職場復帰という予測に疑問の声も多く聞かれます。
今回、厳しい外出制限の部分的緩和(MECQ)にとどまったエリアの一つラグナ州は日系会社を含む多くの製造業の工場を要し、フィリピンの製造業において大きな拠点の一つと言えます。そのため、政府は多くの工場勤務の従業員が制限解除後一同に集い感染の危険が増すことを恐れ、特別に制限エリアに指定しましたが、エレクトロニクス産業連盟が多くの投資と雇用が失われることに言及し、政府のコロナウイルス対策本部に書簡を送ったそうです。ラグナではこれまでの制限により生産のシフトがその他の国に移動し、また予定されていた3000人規模の雇用を生む海外からの投資もとん挫する可能性を危惧しています。
今年初の台風が接近しています。週末にかけ、ビサヤ地方北東部やマニラ首都圏へ大雨と強風が予想されます。
【Cebu Mactan】
ビサヤ地方で唯一、外出制限の延長とMECQの実施を中央政府より要請されているセブ市政府は明日16日以降に開始するMECQで業務再開が50%以下で可能な業種などを中央政府の対策チームが発表したガイドラインに順次た形で行政命令として発表いたしました。マニラ首都圏同様に多くの業態で50%以下の人員で再開とする一方で、同じく出勤へ公共交通機関の禁止、個人への外出制限励行など矛盾点が多く含まれます。
セブ市は本日の新規感染者を3名報告しました。回復者は1名いるそうです。この3週間で最も少ない感染数となります。感染者数全体では1702名が感染しておりうち9名死亡、76名が回復しているようです。その他、ラプラプ市58名うち本日の感染者は0名、マンダウエ市は100名うち本日の感染者は1名となります。
昨日、セブの3都市であるセブ市、マンダウエ市、ラプラプ市がそれぞれ外出制限緩和は時期尚早と考え政府に外出制限の継続を要請している旨をお知らせいたしましたが、正確には一部緩和されたMECQではなくトータルロックダウンといえるECQを3都市とも必要と、指定エリアにするよう要請しているそうです。なお現在も中央政府からの返答はなく、本日、セブ市はMECQにおけるガイドラインとなる行政命令の発表も行っています。
本日は以上となります。現在のフィリピン国民の一般的要望をまとめると感染に対する恐怖よりも、感染対策による貧困と金銭の消費を恐れ仕事に行きたいという思いが強くなっているようです。政府は経済界からの声もくみ取る形を見せマニラ首都圏の外出制限でさえも、一定の基準化で業務可能としていますが、現実的にはマニラ首都圏で働く多くの国民は郊外から公共交通機関にて通っている現実もあり、実現不可能なことが多いと思われます。また現場での衛生面の徹底も実際にはどこまで徹底すればよいのか、ガイドライン不足が否めません。