【81ニュースレター】PH緊急時対応 5/13 Wed
本日も隔離措置の続くここフィリピンより最新の情報をお知らせいたします。まず本日の感染者数ですが陽性感染者数11618名、死亡者数772名、回復者数2251名となっています。本日の新規感染報告は全国で268名になります。
【Metro Manila】
昨日のニュースレターでお伝えしましたように5月15日以降の隔離措置について、現行の強制力の強い強化された隔離措置から地域ごとの感染状況を加味し、3つの段階別に地域が割り振られることになりました。
まず、最も感染数の多いマニラ首都圏と市自治体単位で最大数のセブ市、そして自動車工場などが密接するラグナ地方ではModified Enhanced Community Quarantine(MECQ)が実施されます。これは事実上、これまでの隔離措置、外出制限(ECQ)と大きな差はなく基本的には外出が禁じられ公共交通機関もエリア内で運行されません。
また外部のその他のエリアからのアクセスまたは内部からその他のエリアへ向かうことは禁じられています。ですがSocial Distanceを維持してのウォーキングやジョギングなどを認めるほか、一部の業種に限り全体の稼働率の50%以下に人員を維持することで基本的運営(運営などを除く)が許可されます。特に製造業や輸出入業などが該当することが多いです。
前出のエリア以外の多くの地域はGeneral Community Quarantine(GCQ)にカテゴリーされます。GCQではSocial Distanceなどの一般的なプロトコルを順守することでより多くの行動が可能となります。例えば公共交通機関が乗員制限付きで再開したり、より多くの業態で75%以上の操業が認められることとなります。
またフィリピン国内でより感染の少ない地方ではNew Normalという規制になります。一般的なプロトコル順守のままですが、多くの業態が再稼働可能となります。MECQとGCQのエリア内においてはジムや映画館といったレジャー産業の営業は一切禁じられておりますが、New Normalの場合は基準が提示されていません。学校の開校に関しても同様です。
今回の政府の延長決定によりマニラ首都圏は5月31日までで合計78日間の都市封鎖が実施されることとなります。また31日以降も確実に隔離措置の解除が行われるという保証はなく、コロナウイルスの発生地と言われている中国武漢市で行われたロックダウン日数を上回る様です。
財務省は国内消費の刺激と経済回復のために優先して回復させるべき政策を、いくつかピックアップし提案しました。優先項目としては大規模インフラ政策ビルド・ビルド・ビルド、需要と価格の弾力性の高い製造品の生産販売、食糧生産に関わるバリューチェーンへの支援などです。このほか包括的税制改革も6月3日の議会休会前までに可決するように求めたそうです。
大統領報道官は本日午後、16日以降MECQのエリアとされるマニラ首都圏などでも、経済活動再開のためモールの再開を可能と発表しました。レジャー産業などの店舗は当面運営禁止が続くものの、モール内の政府施設やレストランなども再開可能とのことです。ただし、レストランは依然、店内での飲食は不可能でテイクアウトのみの運営となります。
【Cebu Mactan】
フィリピン中央政府からの指定により中央ビザヤ地方の中で唯一、セブ市がMECQエリアに指定されました。同市は国内の市自治体単位での感染者数が最も多く、マニラ首都圏内のいずれの市よりも多いようです。またセブエリアのその他のエリアはマンダウエ市やラプラプ市など合わせ、政府の基準でGCQへ移行することが可能です。
現在、セブ市をはじめとする市町村で実施している、簡易検査ですが十分な抗体検査のサンプル数に至っていないとして最低でも2日間延長されるようです。この検査は住民たちの間でどれだけの人が潜在的にコロナウイルスに感染している可能性があるかを調べるとともに、コロナウイルスへの抗体を保持することができているかを調べることが目的で3万9654のサンプルを取得することを目標としていますが、現状は37%程度の完了度になっているようです。
セブ市では昨日5月12日に新たに72名の感染が報告され合計1484名が感染した状況となりました。中央ビザヤ地方全体の新規感染者数も昨日は72名で全員セブ市からの発症となります。
セブ市を除くすべてのエリアでGCQへの移行を中央政府より許可されたセブエリアですが、セブエリアで独立都市となるセブ市、マンダウエ市、ラプラプ市は共同で政府に声明を発表し、これらのエリアでもGCQへと移行するのは時期尚早でセブ市での感染拡大の傾向を見てもその他のセブエリアの都市、地域でもECQを継続するべきだと主張しているそうです。ラプラプ市、マンダウエ市ともに現在の感染者数は2桁程度で、また一日の増加人数も日によっては0の日もあり、感染の拡大スピードはいたって平坦であるといえますが、現在、計画的なマス検査も実施しておりその結果も出ていないことなどを理由として挙げています。
本日は以上となります。現地の状況としましては新しく発表されたMECQという条件に付いて具体的に操業が可能な業態や可能であれば何ができるのかという点が不明瞭で、相変わらず混乱している国内状況です。例えば同じ製造業といっても、製造している製品は当然大きく異なりまた工場の規模も異なります。
明確な指示を求め人々がウェブやSNSにくぎ付けとなっている状況です。ガイドラインの不明瞭性は規制を実施する側(政府や警察)と規制を受ける側(一般市民)との間に、認識の乖離を生み結果、トラブルやさらに悲惨な事故を引き起こすことはこれまでの日々で既に認識するべきだと思います。
セブエリアではせっかくの緩和措置も、各地方自治体では危機感が高まっており自ら経済を止める方向性を希望しています。フィリピンの政治では地方自治体は大きな権力を持ちますので、恐らくラプラプ市とマンダウエ市は自主的にMECQを行い、セブ市と均一化を図ることは間違いないでしょう。隔離が始まって既に78日も経過するという事実に驚きと疲労を感じます。
国内は日に日に気温が上がり、体感温度は連日40度越えです。チェックポイントなど外部で規制のために働く人々の負担も増大する一方です。大きな事故などなく過ごしていきたいと思う次第です。